Apple ConfiguratorでのiPadの障害と有償のApp
- 神戸 隆博
この記事は古いApple Configuratorについて書いた内容で、Apple Configurator 2には該当しない内容であることを最初にお断りしておきます。
Apple Configuratorで管理しているiPadが壊れた場合の問題について、最近Appleのサポートとのやり取りから判明したことを記述しています。前提としてApple Configuratorで監視状態に設定したiPadを対象としていて、iPadの管理に関する入門的な話題ではありません。
また、以下は当社で確認した内容で、これを書いている時点のもので将来に渡って正しいとは限りません。書かれている内容を適用する場合は十分に準備をした上で行って下さい、当社では適用した結果については一切保証できません。
Apple Configuartorと有償のApp
Apple Configuratorでは有償のAppはHT202426に記述されているように、
- AppleのVPP(Volume Purchase Program)のストアで購入します。
- 購入する際は「引き換えコード」を選択します。
- 購入処理の結果から引き換えコードのスプレッドシートをダウンロードします。
- 有償のAppを入手していない(追加購入でない)場合はダウンロードしたスプレッドシートに記載されているコードの1つを使用して、Apple Configuratorで無償のAppをダウンロードするストアのIDでiTunesにダウンロードします。
- 再度、引き換えコードのスプレッドシートをVPPストアからダウンロードします。
- iTunesでダウンロードしたAppをApple Configuratorで読み込みます。
- VPPストアからダウンロードしたスプレッドシートをApple Configuratorに読み込みます。
- 読み込んだスプレッドシートに含まれる数のライセンスをiPadに割り当ててインストールできるようになります。
といった手順を踏みます。
なお、新しく購入したiPadで無償で使用できるアプリケーション(Pages, Numbers, Keynote, iMovie, GrageBand)も有償なAppと同様な扱いで、HT202953に記述した方法で引き換えコードや管理配布のライセンスを入手できます。新しく購入したiPadで無償で使用できるアプリケーション(Pages, Numbers, Keynote, iMovie, GrageBand)は2017年4月19日頃に完全に無償となり、Apple Configuratorでも通常の無償のAppと同じ扱いとなります。
iPadの故障時の対応
監視対象にしているiPadが故障した場合、修理を依頼すると費用の有無によらず本体が交換となる場合が殆どです。言い替えると別のiPadとなってしまい、以前のiPadとして有償のAppをインストールすることはできません。
故障内容がパネルが割れていて本体が動作している場合は、iPadをMacに接続して有償のAppを削除してライセンスを回収できます。しかし、電源の問題などで動作しなくなってしまった場合はApple Configuratorでライセンスの回収はできず、事実上ライセンスは失われるとされていました。これはHT202426の「Appをデバイスから削除する」のところにも、
デバイスの監視を中止すると、そのデバイスからすべての App が削除され、それらの App のインストールに使った引き換えコードが再割り当て可能になります。単に Apple Configurator からデバイスの記録を削除した場合は、そのデバイスのすべての App の引き換えコードは再割り当て可能になりません。
と明記されています。
なお、新しく購入したiPadで無償で使用できるアプリケーションについては、HT202953に記述した方法で引き換えコードや管理配布のライセンスを入手できとAppleのサポートから回答を得ています。新しく購入したiPadで無償で使用できるアプリケーション(Pages, Numbers, Keynote, iMovie, GarageBand)は完全に無償となり、他の無償のAppとの扱いの違いはなくなりました。
そうは言うものの実際にそういう状況になってしまうと困ってしまいます。Apple Configurator 2に移行して管理配布に移行するとライセンスはiPadのシリアル番号に割り当てる方式となり、iPadの接続の有無に関わらずライセンスを回収できます。しかし、Apple Configurator 2の移行には相応の作業が必要で、人的や金銭的な費用も発生します。
実際の対応
このような状況に遭遇したのは初めてではなく、最初のケースは保証期間内のiPadでAppleのサポートに連絡して対処した記憶があります。今回はお客様が2年以上使用されているiPadを有償の修理が終わった後でした。
いつものように教育用VPPサポートのWebフォームに問い合わせ、そこからの回答で別のサポート窓口に電話をかけて、新しい事実が判明しました。
結果としてわかったことは、今回の場合はAppleのサポートに特別な対応の依頼は不要ということです。
簡単なライセンスの回収方法
Apple Configuratorで故障してAppを削除できなくなったiPadの分のライセンスを回収するには、
Apple Configuratorから監視対象としているiPadを削除する。
という処理を行います。すると、このiPadに割り当てているライセンスは解除されて、引き換えコードは割り当て可能な状態に戻ります。(HT202426の記述は正しくないとも言えます。)
監視対象のデバイスの削除
Apple Configuratorから監視対象としているiPadの削除は以下の手順で行えます。
- Apple Configuratorの「監視」で対象となるiPadを選択します。
- アプリケーションメニューから「デバイス」のメニューを表示します。
- 表示している間にオプションキーを押します。
- 「デバイス」のメニューの「監視を解除...」が「削除...」に変わります。
- 「削除...」を選択します。
- 確認のポップアップに答えて削除を実行します。
- Apple Configuratorの監視対象の一覧からiPadがなくなったことを確認します。
これで割り当てていたAppのライセンスが回収され、「監視」の画面で「App」を選ぶとライセンス数が増えていることで確認できます。
最後に
結果的にうまくいきましたが、上記を作業する前にApple Configuratorを使用している管理者のホームディレクトリ以下を完全にバックアップし、割り当てていた引き換えコードの状態と(まだ登録していた)故障したiPadの情報のスクリーンショットを作成した上で行ったことを書き加えておきます。もし、うまく行かなかった(ライセンスが回収できなかった)場合に、Appleのサポートに必要な対応を求めるために必要な情報を確保しておくためです。ご自身で行う場合も十分な準備をした上で行って下さい。
以上、Apple Configuratorで管理をされている方に、少しでも役に立てば幸いです。